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傘職人:泉正さん

 愛媛県内子町、夏目漱石の小説「坊ちゃん」で知られた松山市の南西約40Kmにある小高い山々に囲まれた盆地の町で、古くは、大洲藩六万石の専売品である和紙と木蝋の生産地として江戸後期から明治時代にかけて大いに栄えた町である。
 現在の町の中心である本町商店街の東の端、伊予銀行のある四つ角を左に曲がって、旧大洲街道を山手へに向かった八日市・護国地区に、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された古い町並みが保存されていた。 





坂を上りきり桝形を曲がると、時が凍結された昔町へタイムスリップ。江戸から明治に建てられた土蔵造りの商家や民家が軒を連ねる。そして建ち並ぶ家々の造形美に眼を見張る。


上芳我邸(木蝋資料館)

本芳我家住宅(重要文化財)

 この町並みには電柱も見当たらない。商家がこぞって造形美を競ったのであろうか、家屋の棟木を支える白壁の卯建つ、民家の壁に見られる虫籠窓、土蔵造りの外壁に装飾用とした鏝絵など、様々な意匠に、私は驚いて見入ってしまった。
 わずか500mmほどの町並みではあるが、冬の西日に白壁が映え、その美しさに、何度も足を止めて立ち止まりました。
 




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