ぶらりと休日



兵庫県佐用町
   

 佐用町平福、今から四百年余り前、利神(リカン)城主・池田由之が築いた城下町であったが、慶長・元和年間(1596〜1623)に、今の町並みが形成され、その後、播磨と出雲の国を結ぶ因幡街道随一の宿場町として栄えた。
 旧街道に沿って町並みを歩くと、ナマコ壁や連子窓、格子戸の平入りの家々、佐用川の石垣に並ぶ白壁の川屋敷や土蔵群、特に漆喰の剥げ落ちた土蔵や川屋敷が、穏やかな佐用川の水面に影を映している川端風景は、平福ならではの景観である。
 朽ちかけた空家の路地を通り抜けて川岸に出ると、背丈ほどに積まれた石垣の上に蔵屋敷が立ち並ぶ。 街道に面した母屋に対して川座敷と呼ばれる離れは、川面を渡る涼風と利神山の眺めを楽しむものであったらしい。 石垣が途切れた所には、川戸があり、家の中から川岸へと抜けられる造りになっていて、ここから農産物などを小船に積んで、高瀬舟の通う千種川まで運んでいたそうだ。
 最近は「町並み保存」で再現されたテーマパークの様な町並みも多い中、まだ昔のままで残っている朽ち果てかけた空家が、当時を偲ばせてくれる平福の町です。


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