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 奈良井は、古く鎌倉時代から宿駅として、そのなを広く世間に知られていた。 中山道六十七宿の中でも屈指の大宿で、俗に奈良井千軒といわれていた。 時の流れによって、その形体は少しは変わってゆくが、奈良井は、現在でも昔の面影を残していることは、全国でも稀にみる貴重な存在であるということで、昭和53年に「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、永久に保全されることとなった。
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 中山道の中でも木曾谷は最も険阻な道で、この部分を特別に木曾十一宿とも呼ばれている。 塩尻から中山道を鳥居峠に向かって進むと、本山宿を過ぎたところに「是より南 木曽路」と刻まれた石碑が建っている。 心して行けという警告なんだろうか。 木曾十一宿の始まりの贄川宿を過ぎて奈良井宿、ここまではたいしたことにない道である。 しかし奈良井を過ぎると本格的な山道になる。 奈良井の街道筋正面にも山が立ち塞がっている。 これから越えてゆく鳥居峠は、日本海側と太平洋側を分ける分水嶺である。 峠の直下にある奈良井宿は、峠越えの準備をしたり、休んで体力を回復させたりする人で賑わい、中山道で一番の宿場町へと発展した。 
 その後、明治43年中央西線の開通、そして戦後のモータリゼーションと、町は急速に寂れてゆくのではあるが、江戸時代末期から明治時代に建てられた民家や旅籠が残る町並みは、宿場町の面影を色濃く残していることで、昭和53年に重要伝統的建造物群保存地区に指定され、再び多くの旅人を迎えるようになった。

   

   
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