
大阪の南東部、金剛山系の裾野に広がる平野部を南河内と呼ぶ。その中心に位置するのが富田林。開発めざましい新興住宅の中にある寺内町は、一歩足を踏み入れると、そこだけは時代劇映画のセットさながらの懐かしくて美しい町並みが広がり、江戸時代にタイムスリップした感である。
16世紀京都興正寺の証秀上人が「富田の芝」と呼ばれた荒地を銭百貫文で買い受け、町づくりをはじめたことによる。
関西に残る寺内町は、その多くが宗教色を帯びているのに対し、富田林の寺内町では、町民「8人衆」によるリーダーシップが発揮され、したたかで伸びやかな商売の町として他の寺内町とは一線を画している。
|